講談社100周年記念企画 この1冊!:ワールドスタンプブック 怪獣の世界

講談社100周年記念企画「この1冊!」

 

220冊目

『ワールドスタンプブック 怪獣の世界』

編集・構成:赤井鬼介

那須利治
アフタヌーン編集部 40代 男

書店通いのきっかけは……!?

書籍表紙

『ワールドスタンプブック 怪獣の世界』
編集・構成:赤井鬼介
発行:1978年

 とかく少年というものは、何かを集めることに熱中するものだ。私の小学生時代も例にもれず、スーパーカーや怪獣の消しゴム、果てはミリンダ、ペプシの王冠、ただの小石まで集めまくった時期があった。今ではモノ集めをすっかり卒業してしまった私がいまだ大事に手元に残しているもの。それが私の「この1冊」、『ワールドスタンプブック 怪獣の世界』。

 これは本というより、スタンプ(写真カード)のコレクションアルバムだ。かつての講談社インターナショナルが欧州の出版社からライセンスを受けて発行していた。集めたスタンプを該当ページに貼り付けていき、アルバムを完成させるというものである。当時『ライダー怪人』や『ミスターベースボール』などもシリーズとして発売されていたと記憶している。この『怪獣の世界』は『ウルトラマン』シリーズの怪獣をジャンル分けした構成の上、貼付スペースには登場話数・タイトルやスペックも載っており、「集める怪獣図鑑」として子ども達の間で大人気だった。『テレビマガジン』で培った編集ノウハウと素材の蓄積が生かされた、いい企画だと思う。

 アルバムとスタンプは書店で販売されていた。8枚のペラペラのスタンプがランダムに封筒に入ったものが1袋50円。ダブったスタンプもいっぱいあったはずだがどこへ行ったのやら。ダブりカードの交換は「とりかえっこ」と称していた。「トレーディング」なんて言葉もない時代で、今思うとほほえましいなあ。

 スタンプは全部で324枚もあって、残念ながらアルバムを完成させることはできなかったが、なけなしの小遣いと乏しい情熱を注ぎ込んだ、思い出深い1冊となった。

 また自分にとっては本に親しむきっかけになった1冊でもある。小学生の頃は駄菓子屋ばかり通っていたが、スタンプ集めのため、友達と地元駅前の小さな書店にせっせと通うようになった私。初めて「なじみの本屋さん」ができたのだ。大学進学で上京するまで、ここでいろんな本に出会った。こうして出版社で働いているのも『怪獣の世界』のおかげかなあ。

 こう書いてきたら、また何かを集めたくなってしまった。何がいいかな……。

(2013.12.01)

講談社の本はこちら

講談社BOOK倶楽部 野間清治と創業物語