子供の頃、地図と時刻表が大好きでした。と言っても、とくに電車好きだったわけではないので、青春18切符で全国の鉄道路線にリアルに乗って写真を撮ったり、グッズを収集したりするような、いわゆる「鉄オタ」さんたちの幼少期とは全然違いました。

　たとえばこんな感じです。

　TBSの歌謡番組「ザ・ベストテン」で

「今夜チェッカーズの皆さんは故郷・久留米から生中継でご出演です」

　などと聞くと、おもむろに地図帳で「くるめ」の場所を調べ、「全国時刻表」で、自分が今住んでいる街から「久留米」へ行くための電車の路線の乗り継ぎ計画を「あーでもない、こーでもない」と夜遅くまで考えてはノートに書いて「わくわく」できちゃう子、みたいな。

　そして妄想の中で久留米駅に着くと「フミヤくんの卒業した中学」や「実家」までの道のりを「詳細久留米市街地図」の上でリアルにたどって「うっとり」するとか。……え？　気持ち悪いですか？？？　ストーカーですか？？？　路線図と地図の上だけなのでお見逃しを。

　この「鳥瞰図的妄想旅行」、好きな人や憧れの場所ができる都度、大人になった今でもやってしまいます。不思議なことに、けっこう遠い場所でも「飛行機」という選択にはならず、あくまで地上を電車の路線でたどることが楽しいのです。

　何年か前、結婚していたときに元夫から「路線図や時刻表をそうやって何時間も眺めて、わくわくしたり、うっとりしたりできるというのは立派な“鉄道オタク”だよ」との指摘を受けて、初めて自分の中の「鉄道愛」を自覚しました。そうなんですね、これも愛なんですね、と。

　そんな私、この写真集に萌えました。「何これ!?　こんなの初めて。気持ちいい〜！」

　リアル駅や線路が「鳥の視点」で切り取られた写真集です。一面菜の花畑の中に線路がある「小湊鉄道」、タワー真俯瞰など円形が多くて面白い「とうきょうスカイツリー駅」、新幹線が何十本も並ぶ圧巻の「尾久車両センター」、「肥薩線のスイッチバック構造」、「大畑ループ」、碁盤の目の果てにある懐かしの「京都駅」……、路線図や地図が好きな人（せまい？）、駅や線路好き（もっとせまい？）は絶対見てみてください！　一人で5時間くらい「うっとり」「にやにや」できますから。

（2013.1.15）

講談社の本はこちら