講談社100周年記念企画 この1冊!:『解抗免力 健康を手に入れて放射線リスクを減らす知識と習慣61』

講談社100周年記念企画「この1冊!」

 

159冊目

『解抗免力 健康を手に入れて放射線リスクを減らす知識と習慣61』

土井里紗

北野健一郎
ジャーナル・ラボ 44歳 男

今こそこの考え方を伝えたい!

書籍表紙

『解抗免力 健康を手に入れて放射線リスクを減らす知識と習慣61』
著者:土井里紗
発行年月日:2012/03/02

 食品に含まれる放射性物質を企業独自の基準で自主検査することに、『消費者が混乱する』と農林水産省から注文がつきました。国が定めた新基準(2012年4月〜)は国際的にも厳しい内容で、健康が十分に守られるからだそうです。

 その後、検査をやめることを強制しないという考えを農相が示したことで、より厳しい独自基準を設けた食品・流通企業の取り組みは守られることになりましたが、消費者の混乱を逆に招きかねない事態に陥るところでした。食品の安全性を気にする消費者は、可能な限り厳しい検査を求めるものだからです。”暫定”基準というハッキリしない国の対応が生んだ自主検査を、今更ナシするなど、乱暴過ぎました。

 かく言う私は、実のところあまり気にしない派です。

 長きに渡る独身生活はフライパン1つもない状態で、基本は年中外食。とにかく健康には良くないと思われる食生活を送ってきました。だからなのか、食品に含まれる放射性物質の影響より、むしろ生活習慣病の方がヤバいんじゃないかと気にしています。結婚して自宅で手料理を食べられる身分になった今は、普通に流通している食材を、バランス良く食べられれば十分満足なのです。とはいえ、より厳しい自主検査をクリアした食品が同じように並んでいたら、それを買わない手はないとも思っています。

 そんな私が最近手がけた、今だからこそあえてみなさんにイチオシしたい本が、『解抗免力 健康を手に入れて放射線リスクを減らす知識と習慣61』なのです。

 ゲコウメンリョク。聞きなれない言葉だと思いますが、「げ」は解毒力、「こう」は抗酸化力、そして「めん」は免疫力。これら3つの力は、人間の健康と安全のためにどれも欠かせないものであり、三位一体となった究極の人間パワーとして紹介されています。

 内科医である著者の土井先生は、極力カラダの中に入れないことを前提にしつつも、やむなく取り込んでしまう放射性物質への対策として、この「解抗免力」をいかに高めるかがカギと説きます。また、アレルギーや糖尿病、心筋梗塞といった現代人を悩ますありとあらゆる病気に対抗するにも「解抗免力」が必要不可欠とのこと。

 たとえば、発がん物質(放射性物質も含む)がカラダに入ったら、まずは解毒力で素早く排泄。それでもカラダに残る発がん物質には抗酸化力と免疫力で対抗し、細胞をがん化から守るといった具合です。相加相乗効果を期待できるのが、「解抗免力」の特徴です。この本には、ビタミンやミネラルの効能、食生活、サプリメントの利用法など、この力を高めるためのさまざまな知識と習慣が、丁寧かつ具体的に書かれています。

 多いか少ないかの判断は別としても、カラダに取り込んでしまう放射性物質をまったくのゼロにすることが、今の時代、非常に難しくなりました。だとすれば本書に書かれているように、まず健康なカラダを手に入れることを大前提とし、結果として放射線リスクも低減するという考え方は、とても理にかなっているのではないでしょうか。平易に綴られた61の知識と習慣は、放射線がとても気になる人のみならず、私のようにあまり気にしない人にとっても受け入れられる内容です。少なくとも、自分が志向する(も、まだ実践が伴わない)健康的な生活にはピタリとはまりました。

 ちなみに、「解抗免力」を高めることはアンチエイジングにもつながるそうです。そういう意味でも、家庭を守る女性のみなさんには、特にオススメしたい1冊と言えるかもしれません。

(2012.07.01)

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