155冊目
ヤンマガKC『花とみつばち』
ヤンマガKC
『花とみつばち』(1)〜(7)
著者:安野モヨコ
発行年月日:2000/04/06〜2003/11/06
この漫画を読んでみたきっかけは覚えてないが、ハマったのは主人公・小松と同じ高校生の頃でした。
田舎の男子校に通っていた僕はとにかく女性に対する情報に飢えていて、女性誌、少女漫画、携帯小説など何にでも手を出していました。
そんな中出会ったこの漫画はまさに色んな事がドンピシャ過ぎて高校3年間僕の恋愛バイブルとなっていた。
学校で一番人気の派手系女子・太田サクラを身分不相応にも好きになってしまい奮闘する小松。
当時、僕も近くの女子高で一番可愛いと言われている女子に恋をしていたので、とても他人に思えなかった。
そして、読み進めていくうちに当然のように小松と自分は重なり、めまぐるしく変わる恋愛情勢に一喜一憂。
なぜか漫画を読んだ後とても落ち込んだりニヤけたりしている僕を見て、友人たちも興味を示し、一時期クラスの中に『花とみつばち』旋風が吹き荒れたものです。
この漫画に載っている恋は残酷なくらいリアルで純愛ブームとは一線を画する。
小松が恋する太田サクラは数多の恋愛経験を持ち、良い男がいつも周りを取り囲んでいるし、その周囲の女子高生たちも打算や妥協、性欲、外見であっさりと心変わりをしていく。
マジかよ、女の子ってこんなに不安定で浮気性な生き物なの。
と、当時の僕を含め純朴なクラスメイトたちは絶望したものです。
しかし、この漫画に出てくるモテ男たちは基本的にそういう事をすべて許す器量を持っていて、自分のところに戻ってくればそれでいいらしい。そして小松もそんな男に成長していきます。
モテる女子をゲットする良い男になるためには過去の男性経験や交友関係にいちいち嫉妬してはならない。
『花とみつばち』が教えてくれた教訓が、まだまだ恋愛に疎かった高校生の僕を一段階上のステージに引き上げてくれたようにも思う。
結局、僕の恋は実らなかった。
共学で普段の何気ないイベントから徐々に好感度をあげていった小松に対して、僕は、女子校のあの子に会う事すらままならなかったのだから…しょうがない。
今でも実家に帰って『花とみつばち』を読むとあの子に恋していた当時を思い出し、小松の中に入り込む。
しかし実らなかった言い訳が、別学だったから、という何とも情けないものである時点で今の僕の器量はまだまだ小松以下のようです。
(2012.06.15)