講談社100周年記念企画 この1冊!:なかよしKC『美少女戦士セーラームーン』(1)〜(18)

講談社100周年記念企画「この1冊!」

 

115冊目

なかよしKC『美少女戦士セーラームーン』(1)〜(18)

武内直子

磯村花世
国際事業局 30代 女

私をヘンな大人にした1冊

書籍表紙

なかよしKC
『美少女戦士セーラームーン』
(1)〜(18)
著者:武内直子
発行年月日:1992/07/06〜1997/04/04

 新入社員の配属初日。同期のもう一人と共に連れて行かれた先は、本社から数百メートル離れたビルの6階、ピンク色の魔窟。笑いの絶えない不夜城の名は、「なかよし」編集部といいました。

 空前の200万部を記録し、『美少女戦士セーラームーン』はクライマックスを迎えており、熱心な日本読者のみならず、遠くブラジル等海外読者からの電話も取る日々でした。

『セーラームーン』は世界中の少女の生き方を変えました。男性に愛されることを人生の目標としていた女の子たちが、自らの愛の力と信じる気持ちで地球を救えるのだと気付いたのです。

 仕事として読み始めましたが、武内先生が次々打ち出す美しく繊細な絵と力強いストーリーに魅了され、少女まんがのエネルギーとその無限大の可能性にすっかりシビれました。

 私自身も変わりました。この作品の源には愛すべき主人公、ひいてはこの作品自体の強烈な個性があります。ダメなところも含めた個性を愛すること。常識に負けないこと。これは編集の先輩達から、いじられ、泣かされながら教え込まれたことでもありました。実はこれが編集の極意でもあったと気付くのはずっと後の話。

 お陰で少しヘンな大人にはなりましたが、今なお大きな目標として、『セーラームーン』は遥か先で燦然と光り輝いています。

(2012.01.01)

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