講談社100周年記念企画 この1冊!:ちひろBOX

講談社100周年記念企画「この1冊!」

 

96冊目

ちひろBOX

編者:ちひろ美術館

高木伸也
書籍第一販売部 30代 男

世代を超え長く愛される1冊

書籍表紙

『ちひろBOX』
編者:ちひろ美術館
発行年月日:2004/09/10

 小さい頃は絵を描くことが好きでした。

 自分でチラシの裏に絵本やマンガを描いて小冊子を作ってみたり、 絵のコンクールに応募して入賞したこともありました。しかし段々と年を重ねるにつれ、絵に対する興味が失われていき、美術館に行くようなこともほとんどありませんでした。

 そんな私が、この本と出会ったのは、書籍の営業部署に異動になった時でした。当時、総合編纂局という部署で刊行した『ちひろBOX』ですが、発売から約9ヵ月後に私が販売担当をすることになったのが出会いのきっかけでした。

 本書は、いわさきちひろさんの没後30周年記念展覧会と連動して作られた本で、展覧会の会場でも販売されました。著名人や一般の方々のメッセージと共に、「ぼうし大好き」「平和への祈り」などのテーマ別で約280点の作品を紹介しています。

 私にとって、いわさきちひろさんの作品は、これまで色々な所でお目にかかることはあっても、これだけ数多くの作品を見たのは初めてでした。

「喜び」「優しさ」「願い」「懐かしさ」といった様々な思いが、心の中に驚くほど深く入ってくる作品の数々――。

 個人的には「十五夜の月」と「海とふたりの子ども」が好きなのですが、作品に描かれている子供たちを見ていると、彼らの瞳にはいったいどんな未来が映っているのだろうといつも考えさせられます。

 この本との出会いがきっかけで、絵に対する興味が久々によみがえり、様々な画家の展覧会にも行くようになりました。

『ちひろBOX』は、発売から5年後に10万部を超え、さらにロングセラーとなっています。

 不況や災害など将来への不安が増している今、これからも多くの人に希望と笑顔を与えてくれる本でいてほしい、と思います。

(2011.10.15)

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