講談社100周年記念企画 この1冊!:アフタヌーンKC『げんしけん』

講談社100周年記念企画「この1冊!」

 

63冊目

アフタヌーンKC『げんしけん』

木尾士目

真並紗樹子
平成23年度 新入社員 23歳 女

現代視覚文化研究会は永遠です!

書籍表紙

アフタヌーンKC
『げんしけん』
(1)〜(10)以下続巻
著者:木尾士目
発行年月日:2002/12/20〜2011/05/23 刊行中

 今年の春に大学を卒業し、講談社に入社いたしました。まだまだ学生に毛が生え……ているかどうかも怪しい、超ヒヨっこ社会人です。

 最近大学時代の友人と会うと、誰かが必ず言うセリフ「学生時代が懐かしい……」。学校を卒業し就職した瞬間、いきなり学生時代を「懐かしい」と感じてしまうのは何故でしょうか。(実際は、ほんの数ヶ月前のことなのに。)

 そんな懐古癖のある新入社員の私が、今回「この1冊!」でとりあげる作品は『げんしけん』。大学のオタク系サークルを舞台にしたマンガです。「げんしけん」とはサークル名「現代視覚文化研究会」の略称。「現代視覚文化」とは、所謂アニメやマンガといった“素晴らしい”2次元文化のことです。

『げんしけん』で描かれているのは、大学の「文化系サークル特有の青春像」。そこには、殴り合いのケンカや、汗をかいて体をぶつけ合い1つになる! ようなアッツイものはありません。ただのんびりグダグダと部室でひたすら「萌え」について語ったり、同じサークルにいる子にほのかに恋心を抱いてしまったり(そしてその恋の成就の難しさ……)、ときには苦手なコミュニケーションを必死に図って仲間と分かりあおうともがいたり……。

 制約のない時間、損得のない人間関係、というとてもピュアな環境のもと、好きな仲間と一緒にやりたいことを伸び伸びする。私自身学生時代に漫画研究会という、モロ「げんしけん」系サークルに所属していたため、読むと当時を思い出し、懐かしさで胸がいっぱいになり、同時に、もう終わってしまった学生生活を想いちょっぴり切なくなります。

 ……と、まぁそんな風に会社から帰宅後、『げんしけん』を家で読んでは、学生時代に思いを馳せ、懐かしんでいるわけですが、なんと現在、『げんしけん』の続編『げんしけん二代目』がアフタヌーンにて連載中。主人公が卒業したあとのサークルの模様が描かれています。過去を回顧するのも楽しいけれど、移り変わってゆく現実を見るのも、また面白い。進んでいく『げんしけん』を読みつつ、いっちょ社会人として頑張ろうという気持ちにもなるのです。

(2011.06.01)

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