講談社100周年記念企画 この1冊!:『旅の極意 人生の極意』

講談社100周年記念企画「この1冊!」

 

33冊目

『旅の極意 人生の極意』

大前研一

山田 享
ディズニー出版部 44歳 男

こんな極上の旅が、あるなんて!

書籍表紙

『旅の極意 人生の極意』
著者:大前研一
発行年月日:2006/07/25

 子どもの頃『兼高かおる世界の旅』を視て、世界には、いろんな国があり、いつか訪れてみたいと夢をふくらませていた。

 初めて海外へ旅をしたのは1989年、ありがちだが大学生の卒業旅行だった。それからも、いくつかの国々を訪れ、異国での旅の面白さを少しは知ったつもりになっていたが、自分で訪れたことのある場所、たとえばヴェネチアでも、思いもよらない楽しみ方があることを教えてくれる本に出会った。それが、この『旅の極意、人生の極意』だ。

 この本は、もともと女性誌「FRaU」に連載した「添乗員大前研一のPREMIUM TOUR GUIDE」を書籍化したもので、紹介されている旅は、まさにプレミアムツアーの名にふさわしいものばかり。ゴクっとつばを飲み込むほど、うまそうな旅がずらりと並んでいる。

 読み始めた時、あんなに多くの本を書かれ、講演もされて超多忙なのに、どうやってこんなに時間がとれるの? と摩訶不思議な感じがしたが、その秘訣も本の中に書かれていて合点がいった。まず先に休暇を決めてしまうというのだ。

<ちなみに、私は年に三回は長期休暇を取るようにしているが、その計画は毎年、年頭に立ててしまう。たとえば三月の第一週はウィスラーでスキー、その他の冬の間の週末は奥志賀でスノーモービル。六月は山形でトライアルバイクの大会に出場し、七月はボート、八月は蓼科……というように、日程の決まっているものをあらかじめスケジュール帳に書き込む。仕事の予定はその次だ。
 もし「三月の第一週に講演をお願いします」という依頼が来ても、その時はスキーと重なるので迷わず断る。このように最初に休みを取ってしまうと、どれだけ忙しくても遊びの時間が確保できる。私にとって長期休暇は神聖なものだ。必ず自宅を離れ、家族と一緒に過ごす。何があってもそれを守る。これは鉄則だから、仕事よりも優先させる。限られた時間を有効に使うには、優先順位をつけることが大切だということを、私は添乗員時代に頭と体で覚えたのだった。>

 仕事は、休みの次ですか、なんとも羨ましい! 普通の人は、仕事が比較的空きそうなところで、休みを取ろうとするが、それではダメなのだ。まず、休みありきの逆転の発想。
 つまり、この本は時間術、ひいては人生における優先順位のつけかたも伝授してくれるビジネス書でもあった。

 とはいうものの残念ながら、僕は紹介されている十五本のツアーに沿った旅には、まだ出かけることができずにいる。

 そんなことを見透かすように「はじめに」で大前さんは、紹介する十五本のツアーについて、こう読者を鼓舞する。

<十五本のなかにはとてつもなくゴージャスなものもあるが、それだけの価値があるものばかりを厳選したつもりだ。「休みを取るのが大変だ」「少し贅沢かも」などと、つまらない尻込みだけはしないでほしい。そうやって先送りしている間に、時間はどんどん過ぎていってしまうのだ。ようやく余裕が出てくる頃には、精神的にも肉体的にも人生を楽しめなくなっている、などということは、断じて避けなければならない。先送りしない人生。これが、私が十五本のツアーに託すメッセージである>と。

みなさんもこの本を参考に、プレミアムな旅に出かけてみては?

僕よりも、先にね!

(2011.02.15)

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